スバル「XVハイブリッド」とマツダ「CXー3」どちらが評価できるか?買いなのか?

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似ているようで似ていないSUV スバル「XVハイブリッド」とマツダ「CX-3」

最近は、乗用車ベースのSUVがヒットを飛ばしているようだ。

スバルでいうところの「XV」や「XVハイブリッド」のようなモデルだ。デザインは格好が良く、乗用車ベースなのでよく走り、運転にも大型車のような注意を払う必要がなく、スポーツやアウトドアを楽しむために自然や雪山にも安全に入っていくこともできる。走り屋でなければ、なんでもできる万能な車として使用出来る良い車だ。(参考記事:SUBARU XVを試乗してどうだったか?(インプレッション)

スバルには上記のように「XV」や「XVハイブリッド」があるが、値段の近いマツダのライバルといえば「CX-3」だ。本来、デミオをベースとするマツダ「CX-3」は、インプレッサと比べても1つ車格は下となり、ホンダのヴェゼルや海外勢でいくとフォルクスワーゲンのクロスポロあたりがライバルとなってくるものだ。

しかし、価格をみると驚くだろう。同様の装備ベースで考えると「CX-3」のほうが若干ながら高くなってくるのだ。

この似ているようで似ていないSUV、スバル「XVハイブリッド」とマツダ「CX-3」はどちらが評価できるのか?買いなのだろうか?考えてみたい。

(参考記事:スバルとマツダの車の違いは何か?大きくない自動車メーカーの小さくない違い・特徴を比較してみた

18インチタイヤの採用などデザインと質感で攻めるマツダ「CX-3」

高級感があり美しいのは、マツダのCX-3、遊び心があり道具としてのワクワク感を醸し出しているのはスバルのXVハイブリッドだろう。

スバルXVハイブリッドよりもひとクラス下のデミオベースのCX-3が、インプレッサベースのXVハイブリッドをデザインや質感で上回るのはさすがだ。コンパクトカーほど高級感を出すのは難しいと思うが、最近のマツダのコンパクトカーはコンパクトカーらしくない高級感が出ている。

個人的なデザインの好みとしてはマツダCX-3のほうがかっこ良いと思う。一見無駄に思えるような18インチタイヤを備えてくるようなところにマツダのデザインに対する攻めの姿勢を感じるところだ。

パフォーマンスの高いCX-3のディーゼルエンジン

マツダのCX-3は、基本デミオと同じディーゼルエンジンを搭載している。1,500ccで、最高出力が105馬力、最大トルク27.5kgmとなっている。

デミオと異なるのは、エンジンセッティング上最大トルクが2kgmほどアップされていることだ。これはデミオよりも車両重量が増加するため、その重量増に対応したものだろう。

対するスバルXVハイブリッドのエンジンは、2,000cc、最高出力が150馬力、最大トルクが20.0kgmプラスハイブリッドの出力となっている。

マツダCX-3のディーゼルエンジンは、最高出力を回転数4,000rpmで発生させ、1,500ccとエンジンでこれだけのトルクを発生するというところも素晴らしい。

スバルのXVハイブリッドの場合は、2,000ccエンジンのため、税金などのコストを含め、購入後のコストはマツダCX-3のほうがかからないだろう。

最安グレードを除きアイサイト付きの安心感が強いスバルXVハイブリッド

独立行政法人 自動車事故対策機構が発表している、「予防安全性のアセスメント」の結果を参照すると、マツダのCX-3(上級グレード車・グレートによって安全装備が異なる)が42.8点、スバルのXVハイブリッド(アイサイト車)が45.3点と結果は肉薄しているが、やはりスバルのほうが勝っている。

どちらも対停止車両に時速40キロメートルでは、安全装置が作動し追突事故を見事に防止しているが、時速50キロメートルでは完全に停止することができず、追突している。これについては、アイサイトのスバルのXVハイブリッドにおいても同様だ。

マツダのCX-3は、最上級グレートしか安全装備が充実しない点に注意が必要だ。ここが、中級グレードから安全装備が充実している(アイサイトを搭載している)スバルXVハイブリッドとの大きな違いだろう。安全性に重きを置くスバルの企業姿勢を見ることができる。

ハイブリッドに頼らず最新のディーゼルエンジンとAWDで達成した低燃費(CX-3)

i-ACTIV AWDは、最新のマツダのAWDで、制御についてはXVハイブリッドのAWD(アクティブトルクスプリットAWD)と比較してもより緻密な印象を受ける。常時リアの駆動力を1%以上駆動して、前輪の駆動力の破綻に備え、タイムラグを防ぐなど、綿密な工夫が施されている。

このような制御していれば、タイヤの駆動力に変化が生じた際でも運転者は気付くことがないだろうし、雪や雨などの多くの路面状態において、良い意味で何も起こらないはずだ。

またこのような緻密な制御は、燃費にも良い影響を与えている。スバルのXVハイブリッドがリッターあたり20.4kmなのに対し、マツダのCX-3は、リッター当たり21.0kmとスバルのXVハイブリッドを上回っている。

もちろん燃料代は軽油のほうが断然安いので、コストにおける差はさらに大きく開くだろう。両車ともAWDでは考えられない数字であるが、XVハイブリッドのようにハイブリッドという仕組みに頼ることなく、ディーゼルエンジンとAWDの技術革新で達成させたマツダCXー3はさすがだ。

(参考記事:スバルのAWDの種類

トランスミッション CX-3はMT車(6速マニアルトランスミッション)も用意

CVTトランスミッションを採用するスバルXVハイブリッドに対し、マツダのCX-3は6速オートマチックトランスミッションを採用する。6速オートマチックトランスミッションは、トルクコンバーターのロックアップ領域が大幅に拡大しており、MT車のようなダイレクト感を味わえるのが特徴だ。

また、マツダCX-3の場合は、MT(6速マニアルトランスミッション)も用意しているところが凄い点だ。ずっとマニュアルトランスミッションを乗り継いでいる人にとってはとても嬉しいことだろう。

しかし、エンジンの特性などから考えると、回転数を高く引っ張って走るような車ではないためATのほうが個人的にはおすすめだと思う。

判断の難しいマツダCX-3の車両価格

両車もAWD、予防安全装置は全部のせ、ナビ装着後を仮定して比較すると、スバルXVハイブリッドで280万円から310万円、マツダCX-3で、300万円から320万円といったところで、10万円から20万円程度マツダのCX-3のほうが高価になるだろう。

この300万円前後の価格差になってくると、少々差があっても本当に自分が欲しいものを選ぶだろうから、この価格差はそれほど大きくないとも思われる。

また補助金なども踏まえると本当に差が小さくなってくるだろう。加えて、軽油を燃料として使うためトータルのコストで考えた場合より割安になってくるだろう。

マツダCX-3のメリット 上級モデルの充実した装備

価格が若干上回ってくる分、マツダCX-3の装備は、特に上級モデルにおいてとても充実している。デミオというコンパクトカーがベースになっている車であるが、装備自体はコンパクトカーのレベルではないだろう。

・シートヒーター(上級グレード)
・Boseサウンドシステム(約6.5万円・メーカーオプション)
・アクティブドライビングディスプレイ(上級グレード)
・LEDヘッドランプ・ハイビームコントロールシステム(上級グレード)

マツダCX-3のデメリット

逆にマツダCX-3のデメリットについても触れておこう。

まず、タイヤサイズが18インチであることだろう(スバルのXVハイブリッドは17インチ)、特にスタッドレスタイヤなどはひとクラス上の上級車と同じ位のタイヤ価格となってしまい乗る人を悩ますだろう。

タイヤのメンテナンス費用等考えると、メインの1台とはなりうるが、サブカーの1台として使うにはコストがかかりすぎることになってしまう。サブとして考えるのであれば、やはりデミオぐらいが適当だろうだろう。

また、このCX-3のデメリットとして一番大きいと考えるのは車両本体価格の高さだ。この車は総じて良い車ではある。しかし、価格がネックになり大ヒットが長期間続くというのは考えづらいだろう。

戦略的にヴェゼルハイブリッドよりも少し上の価格、XVハイブリッドよりも少し下の価格帯を出せば、コストパフォーマンス度合いが高くなり、巷でも大々ヒットにつながった可能性はあるが、それらの車よりも高いところが問題だろう。

少々割高感があるところが残念なところだ。プレミアムなコンパクトSUVとの位置づけで利益を伸ばす戦略なのだろう。確実にデミオなどのベースモデルと比べて利益率は高いはずだ。軽油などの使用燃料を考慮すれば差額は取り返すことができるかもしれないが、それでは長距離乗る人しかその恩恵を受けることはできない。

家族を重視ならXVハイブリッド、デザイン重視ならCX-3 、総合的にはXVハイブリッドか?

このように2台の比べていると、両者の実力が肉薄していることに気がつくだろう。トータルで考えてもどちらの車を買ったとしても後悔はすることはまずないとは思える。

それでもおすすめを考えた場合の答えはというと、家族を重視するような人であれば私はスバルのXVハイブリッド、デザインを重視するような人にとってはマツダのCX-3を推したい。

無駄な部分がなく、(インプレッサベースのため)後席を含む車内が広くて快適で乗り心地も良く、安全性も高い1台といえばXVハイブリッドだ。そんな1台は、家族思いの父親(または母親)にはぴったりの1台だと思う。

そして、デザインにこだわる人にはマツダのCX-3 がおすすめだろう。あえて、コストのかかる18インチのタイヤを履くようなところは完全なデザイン重視のためで、その狙いどおり非常にかっこ良い仕上がりになっている。

コンパクトカーのクラスとなり、乗り心地や室内空間に多少の制約が生じてくるデミオベースの車に300万円を出すなんて普通であれば信じられないが、このかっこ良さであればそれもあり得るかもしれない。そういうところがこの車のデザインを含めたトータルバランスの凄さだ。

タイヤは少し高いが、軽油は安いため、浮いた燃料代をタイヤ代に当てれば全体への影響は軽微かもしれない。私は、CXー3がもっと本体価格が安ければCX-3を完全に推しただろう。そのような面で総合的に考えた場合、CX-3の最大の弱点は価格設定だ。

そのようなことから、スバルのXVハイブリッドを強く推したいと思う。

(参考記事:SubaruXVハイブリッドは買いなクルマか?




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