SubaruXVハイブリッドは買いなクルマか?

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ついにスバルのハイブリッドモデル、スバルXVハイブリッドが登場した。

スバルXVはインプレッサとは微妙に異なり、インプレッサをベースとしたクロスオーバーモデルだ。

スバルは、ハイブリッド技術を用いた車を出すことを以前から告知していたが、ハイブリッドの技術は提携関係にあるトヨタの得意技術であるであるため、多くの人がトヨタの技術を借りてスバルが車を作るものと考えていただろう。そういったこともあって元々私の中で、それほど期待は大きくなかったのが実際のところだ。

しかし蓋を開けてみると、トヨタのハイブリッドカーとは技術的には異なり、ハイブリッドシステム自体をスバルで独自で開発しているという驚くべきものであった。

車の中身を見てみると、とても興味深いと思う。というのもハイブリッドカーにもスバルの思想が入っているからだ。

SubaruXVハイブリッドは買いだろうか?SubaruXVハイブリッドについての長所と短所を考えてみた。

特に個人的にポイントとして注目したのは次のポイントだ。

 

(1)燃費は1リットル当たり20km(JC08モード燃費)

1リットル当たり32.6km走るプリウスなどと比較するとハイブリッドといっても燃費は余り良いものではない。別にハイブリッドでなくても普通のガソリン車であっても出る数字だ。燃費命のような人にとってはハイブリッドの意味がないとさえ思うだろう。

しかし、スバルがあえてこの燃費を出してきているということは、単なる燃費競争するためにSubaruXVハイブリッドを出してきたのではないということである。スバルがSubaruXVハイブリッドを出してきた本当の目的は、次のポイントに関わる部分が大きいと思う。

(2)ディーゼルエンジンの性能に負けないハイブリッドエンジンのトルク特性

おそらく、SubaruXVハイブリッドの直接的なライバルはプリウスやインサイトなどの燃費重視のハイブリッドではないだろう。あえてハイブリッドモデルでいうとホンダCR-Zのような走りのいいハイブリッドモデルだ。

しかしそれも微妙で、本当のところはSubaruXVハイブリッドのライバルはディーゼルエンジンではないかと思う。ディーゼルエンジンはご存知のとおり数千回転の低回転域から強力で最大なトルクを発生する。

SubaruXVハイブリッドについては、ある意味ではディーゼルエンジンよりももっと優れていて、リンク先の記事のトルクカーブを見るとわかるが、1000回転台から約220ニュートンメーターの最大トルクを発生できるようにトルク設定をしている。

具体的にいうと、ディーゼルエンジンよりももうもう少し低い回転域から最大トルクを取り出すことができるのである。そして、その最大トルク水準の高いトルク域が、弱まることなく、4000回転台までほぼフラットに続いていく。

ハイブリッド化によって確実に車両重量が大人2〜3人分ぐらい重たくなっているため、すべて電気のアシストパワーの恩恵を受けられるわけではないものの、アクセルを踏み込んだ瞬間から車の最大トルクが出るというのは結構迫力があるものだと思う。

こんなことからも、このSubaruXVハイブリッドについてはハイブリッドのシステムの燃費向上を目的には使っていないということがわかるだろう。

燃費を重視するならばこんなトルク特性にはしないだろうからだ。つまりはターボの代わり、簡単に表現すると電気式ターボだ。(これはスバルの社長も話しているので間違ってないだろう)

もちろんこの電気式ターボはガソリンターボとは感覚も全く異なるもので、加速力自体はレガシィのターボにはかなわないものの、レガシィのノンターボモデルとはいい勝負になるかもしれないとも思う。気持ち良さという意味ではレガシィのノンターボモデルの上をいくかもしれない。また、特に発進して初期の加速はトルクの発生の仕方から考えて、SubaruXVハイブリッドの方が勝る瞬間ももしかしたらあるのかもしれない。

実際のところは、バッテリー全体の出力や重量増の影響で、それも難しいとは思うが。

(3)車両全体の重量アップによる乗り心地の向上(重厚でしなやかな乗り心地)

最近の車は燃費を良くするためどんどんと軽量化している。

軽量化するたびに車の乗り心地は固めになり、ちょっとした段差で車が飛び跳ねやすくなる。年々、色々な車の燃費は良くなっていくが、乗り心地は軽い感じで、しっとりとした乗り心地は薄れてくる(乗り心地は悪くなる)。どちらかというと軽量化は車の乗り心地にとってはマイナスだと思う。

こういったことから考えるとハイブリッド化によって重くなったSubaruXVハイブリッドは、インプレッサらしい軽快感というよりも、もっと落ち着いた重厚な乗り味、つまりは乗り心地は良いだろうと思う。また、このSubaruXVハイブリッドの前後バランスについてはまだわからないものの、このバッテリーの効果によって前後の重量バランスは良いものになる可能性はあるだろう。

メリットが多いSubaruXVハイブリッドであるが、欠点がないわけではないだろう。ハイブリッドカーによるネガティブな側面(欠点)があるだろう。

1つは、車両重量の増加による、車両の動きの軽快感がなくなることがあるだろう。
ハイブリッドシステムによる重量増がどれくらい悪い影響を及ぼすかそれが一番気になるところである。スバルの車は、低重心というこだわりが貫かれているため、ちょっとした重量増であっても走りに大きく影響しないという見方もできるだろう。

もう1つは、車のシステム自体の複雑化である。万が一の故障や事故の際に、複雑化したシステムの方が修理代等は多くかかるのは当然だろう。もちろんディーゼルエンジンなどの方がシステム自体がシンプルなため、こういった面ではお金はかからないだろう。

 

さて、どんな人にこのSubaruXVハイブリッドは向くだろうか?

今のレガシィが大きくなりすぎて嫌いな人で、今のインプレッサでは、エンジン排気量が少し小さいと考えている人にとってはぴったりかもしれない。

また、雪国地方に住む人で4WDのハイブリッド車がないためハイブリッド車を諦めていた人にとってもとてもお勧めできると思う。また、そういう人にとっては通常のインプレッサよりも車高が高いのも良い点だ。

 

逆に向かない人というのもいるだろう。

まずは、SubaruXVハイブリッドのデザインが嫌いな人。

個人的には最大の問題は車のデザインだと思う。私は普通のインプレッサのデザインの方が好きだ。ハイブリッドを出すのなら普通のインプレッサで出して欲しかった人間だ。そういう人も確実にいると思うし、SubaruXVのデザインはSUVを意識させるもので人によって好き嫌いが分かれるデザインだと思う。普通のインプレッサにハイブリッドを設定すればもっと売れるはずだと私は思う。

私だったら普通のインプレッサのハイブリッドだったら買いたいと思うがXVのハイブリッドだったらデザインの好みの関係で買いたいと思わない。

次に向かない人は、ハイブリッドカーにプリウスやアクアのようなの燃費の良を期待している人だ。

スバルのハイブリッドは燃費第一主義ではない。

燃料を食うターボチャージャーをつける代わりに、燃費の向上が期待できるハイブリッドをつけたというイメージだろう。トヨタなどのハイブリッドよりも燃費はそんなに良くないが、ターボチャージャーを搭載した車よりもだいぶ燃費が良いというところを狙っている車だと思う。

 

これまで、個人的にはスバルのハイブリッドモデルにはほとんど期待をしていなかったが、実際に出してきた内容を見るとシステムのコンセプト自体は面白いと思う。

こういった光るものを出してくるスバルだからこそ今の好調なセールスを達成できているのだろうと思う。このような新しくて大きなチャレンジはスバリストとしては歓迎すべきことだろう。
【他社のライバル車との比較試乗など、スバルの新しいハイブリット「スバルXV ハイブリッド」の良さを知る】




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