ターボ車などのハイパフォーマンスカーにおける4WD(AWD)のメリット・デメリット

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雪道専用でもないのに意外と?!多い4WD(AWD)仕様のハイパフォーマンスカー

普段それほど雪が降らない地域に暮らしていて、スバルなどの優れたAWDなどを経験したことのない人にとって4WD(AWD)といえば、雪国御用達の専用車のような印象を受けるだろう。

車に詳しくないような人にとっては、雪国以外であって、なぜあえて4WD(AWD)の車を買う必要があるのかさえよくわからない人もいると思う。

近頃、実用車では、ハイブリッドカーなど低燃費カー全盛であることに変化はないものの、ハイパフォーマンスカーにおいては(特にメルセデスベンツ等の輸入車・外国車において)、4WD(AWD)が存在感を少しずつ増していることに気がつく人もいるだろう。

例えば、4WD(AWD)ハイパフォーマンスカーというと以下のような車がある。

4WD(AWD)ハイパフォーマンスカーの例

  • スバル レヴォーグ・WRX STI・WRX S4 など
  • 日産 GT-R(R32型から現行(R35型)まで4WD)
  • ホンダ NSX (先代NSXはAWDではなくMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ))
  • フォルクスワーゲン ゴルフR
  • ホンダ レジェンド(先代である4代目からAWD)
  • アウディ クワトロ搭載モデルなどの一部モデル
  • メルセデス AMGグレードなど一部モデル(多くのAMGグレードモデルが4WD化されている)
  • ポルシェ カレラ4などの一部モデル

やはり4WD(AWD)のハイパフォーマンスカーというと、日本ではスバルの得意分野であったりもするが、日本車では絶対的に数が少ない。

まだまだ、輸入車などの外国車が多いのが現状だ。

なお、これらを見ていると、オフローダーでもないのに4WD(AWD)専用という車種も意外と多いことに気付くことがあるだろう。

また、4WD(AWD)専用車ではないものの、アテンザ、アクセラのように4WD(AWD)に力を入れ始めているマツダのようなメーカーもある。

なぜ高出力・高トルクのハイパフォーマンスカーには4WD(AWD)が一定割合存在してくるのだろうか?

ターボ車などのハイパフォーマンスカーにおける4WD(AWD)のメリット・デメリットについて今回少し考えてみよう。

ハイパフォーマンスカーにおける4WD(AWD)のメリット

ハイパフォーマンスカーにおける4WD(AWD)のメリットについては、大きくは以下のようなメリットがあるだろう。

メリット1 走行安定性に優れる

ハイパフォーマンスカーにおける4WD(AWD)のメリットで一番大きなものとしては、この走行安定性に優れるということがあるだろう。

例えば、加速時にタイヤスピンなどもおきにくくなるということがある。

ハイパフォーマンスカーにおいては馬力やトルクが大きくなるほど、タイヤにかかる力が増して、2駆の場合はタイヤがそれに耐えられなくなりスピンしやすくなるが、全輪駆動(4WD・AWD)とすることで力を4輪に分散させることでスピンしにくくなるということがある。

4輪で効率的にパワーを分散させながら路面を掻き出すことができるのだ。

もちろんそれだけではない。

どのような天候や路面状況、速度域においても2WD(FF・FRなど)と比較すると安定して車を走らせることができる。

速度域が高くなりがちなハイパフォーマンスカーにおいて、コーナリングなどにおいても高い安定感を持って走らせることができる。

もちろん、雪道・悪路・横風(強風)においてもそれらの影響を最小化して安心して走らせることができる。

日産がGT-Rの雪道における走行性能の高さを売りにしているような宣伝(動画)を動画サイトで見ることができるが、優れた4WD(AWD)のハイパフォーマンスカーはどのような場所であっても安定して速く走らせることができるのだ。

レガシィにしても、レヴォーグにしても2駆モデルが存在せず、全てのグレードがAWDであるのもこの安定性を重視してのことだろう。

なお、4WD(AWD)の場合、ブレーキに関わる部分はデメリットとして扱われることも多いが、そうばかりでもない。

エンジンブレーキを使う上では、4輪にブレーキをかけられるので安定して速度を殺すことができるメリットもあるのだ。

メリット2 乗り心地に優れる

もう1つの4WD(AWD)のメリットとしては、乗り心地の良さがあるだろう。

もちろん全てではないが、2WD(FF・FR)と比べて4WD(AWD)のハイパフォーマンスカーは乗り心地についても優れていることが多い。

上では、4WD(AWD)の方が走行安定性に優れると書いたが、それが同乗者などの乗り心地においてもプラスに働くのだ。

4つのタイヤ全てが駆動するため、2WD(FF・FR)と比べて縦方向の揺れ(ピッチ)が減り、運転者・同乗者ともに乗り心地が改善する。

機構(機械)が複雑な4WD(AWD)では騒音や振動が大きくなり、乗り心地を損なうと思われがちであるが、高級なハイパフォーマンスカーにあっては騒音等もなく乗り心地はスムーズである。

レガシィもレヴォーグもそうだが、フルタイムで4輪が動作しているAWDなどの場合、常に4輪が動作をしているため、独特なフラットな乗り心地を味わうことができるだろう。

ハイパフォーマンスカーにおける4WD(AWD)のデメリット

次は、ハイパフォーマンスカーにおける4WD(AWD)のデメリットについて4つを考えてみよう。

デメリット1 車両重量が重くなる

これはハイパフォーマンスカーのみに限った事象ではないものの、4WD(AWD)の一番大きなデメリットとして、車両重量が重くなるということがあるだろう。

通常、車両重量が重くなればなるほど加速の悪化などの悪影響が出る。

しかし、ターボ車などのハイパフォーマンスカーであれば、車両重量が重くなることの加速への悪影響はあまり感じることではないかもしれない。

それよりも影響を感じやすいのはブレーキ性能の悪化や燃費の悪化だろう。

ブレーキ性能は車重が重くなれば、軽い場合よりももちろん悪化する。

滑りやすい路面、雪道等の場合にはその差をより大きく感じるだろう。

デメリット2 2WD(FF・FR)と比べて燃費が悪化する

上の車両重量のデメリット同様に燃費悪化のデメリットもあるだろう。

4WD(AWD)になることで機械が複雑に、かつパーツの種類が増えることで重量が重くなり燃費が悪化する。

しかし、最近のスバルやマツダのAWDについてみているとわかるように燃費の悪化も昔ほどではなくなってきた。

例えば、アテンザセダン(XDディーゼル・ATモデル)で2WDがリッター19.6キロに対し、4WDがリッター18.2キロとなっているし、最新のプリウスで2WDがリッター37.2キロに対し、4WD(E-Four)がリッター34.0キロになっている。

それらを見る限り、だいたいのところ1割前後は燃費が悪化するようだ。

最近のスバル・マツダのモデルを見ると燃費の悪化は最小限に抑えられているように思える。

ハイパフォーマンスカーに乗るような人であれば、これらの燃費悪化は走行安定性の向上の代償と思えばそれほど高くないのかもしれない。

デメリット3 車両価格が高くなる

デメリットの3つめとして、機構(機械)が複雑になるため、価格が高くなるということがある。

もちろん、これもハイパフォーマンスカーに限った話ではないが、ハイパフォーマンスカーの方が使用されるパーツなども高額なものを使用しがちであるため、値上がり幅も大きくなりやすい。

しかし、4WD(AWD)のハイパフォーマンスカーというと生産台数も限られるため、コスト低減も2WDと比較すると低減させにくい。

ハイパフォーマンスカーは元々車両価格自体が高めであるため、高くなった実感は少ないかもしれないかもしれないが。

デメリット4 機構が複雑になる分故障のリスクが増える

4つめのデメリットとして、機構が複雑になる分故障のリスクが増えるということがあるだろう。

上でも触れたが、4WD(AWD)のハイパフォーマンスカーには高価な機構が採用されていることも多い。

機構が複雑になればなるほど故障のリスクは高まるし、保証などがないような場合にはそれなりに高額な修理費用が必要となるリスクもあるだろう。

4WD(AWD)のハイパフォーマンスカーを購入しようとしている人にとっては、新車を買うなど、なるべくのところ保証付きの車を購入することがその不安を解消することにつながるだろうし、保証も延長できるのであれば延長しながら乗ることが良いとは思う。

4WD(AWD)は曲がらないか?

4WD(AWD)のデメリットとして、曲がらないということをあげる人もいるだろう。

昔からの四駆をよく知っている人にとっては、四駆は曲がらないと考える人も多い。

確かに、4WD(AWD)は機構的には曲がることは得意ではない。

しかし、現在ではそれを克服しつつあるようだ。

例えば、スバルの現在の4WD(AWD)は、前後トルクを自在に可変するなどしてFFやFRのような回転性を実現しているものもあるし、また新しい技術の登場もある。

それは、例えばスバルでいうところの「アクティブ・トルク・ベクタリング」など、トルクベクタリング技術の登場だ。

ホンダのレジェンドは、電気モーター駆動を生かし、さらに高度なトルクベクタリングを行っている。

スバルのレヴォーグやインプレッサを見ていても思うが、特にこのホンダのレジェンドなどを見ていると4WD(AWD)が曲がらないというのは過去のものになりそうな予感もする。

今後、自動車はEV(電気自動車)の方向に確実に向かっているだろうし、それも4WD(AWD)にとっては、メリットとして働くだろう。

モーターを各4輪に組み込むことで、比較的シンプルな機構(制御は複雑だが…)で高度な4WD(AWD)システムを構築できるからだ。

そういったことを考えていると、今後4WD(AWD)はよく曲がる車になりそうな予感さえするだろう。

良いタイヤがあってこそ

このように、ハイパフォーマンスカーにおける4WD(AWD)のメリットとデメリットについて少し考えてみた。

4WD(AWD)のハイパフォーマンスカーはメリットも多いことを書いたが、これらのメリットは良いタイヤがあってこその面も4WD(AWD)の場合には非常に大きい。

冬の場合は、どんなに4WD(AWD)の機構が優れていても、優れたスタッドレスタイヤ無しでは凍結路などを安定して走らせることはできないし、夏のサマータイヤであってもちゃんとしたタイヤを履かなければ雨の日など安心して走らせることはできない。

ハイパフォーマンスカーは馬力やトルクがそれなりにあるだけに、このタイヤの要素はそれ以外の車よりも大きなものとなるだろう。

一般的には雪道や悪路を必ず走行する必要がなければ4WD(AWD)は不要だが、ハイパフォーマンスカーであれば4WD(AWD)はとてもおすすめだ

一般的には、雪道や悪路を必ず走行する必要がなければ4WD(AWD)は不要だと私も思うところだ。

必要以上の安定感は不要だと考えていたり(2WD(FF・FR)の乗り味が好きだったり)、雪道や悪路をどうしても走らなければならないわけではない人にとっては、コスト面から考えても、また車重の重さからくるデメリット(燃費悪化・加速悪化・ブレーキの効きの悪化)から考えてみても4WD(AWD)は不利で、2WD(FF・FR)の方が総合的に優位になるだろう。

自分の場合にも、雪道を必ず走らなければならない場合があるため、4WD(AWD)を選択しているものの、4WD(AWD)が役に立つのは年間数ヶ月の期間内であり、4WD(AWD)の必要性については少し疑問を感じるところさえもある。

しかし、280馬力や300馬力を上回るようなハイパフォーマンスカーにおいては、4WD(AWD)はとてもおすすめだ。

雨でも雪でも嵐でも、山でも街でも、どんなシチュエーションでも、安心して速く車を走らせることができるのは4WD(AWD)が唯一であり、パワーを効率的に、どんな人でも安全に使うことができる。

スバルの4WD(AWD)の評価がますます世界中で高まっているが、こういった4WD(AWD)の良さが広く認知されてきているのだろうと思う。




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