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この記事の内容
5代目レガシィツーリングワゴンオーナーにとって新型レガシィは買いなのか?
5代目レガシィオーナーにとっても相当に気になるであろう新型のレガシィがリリースされている。日本市場はレヴォーグやS4に任せ、完全に北米仕様となったいわば北米専用車ともいえるレガシィだ。北米でのリリースに遅れ日本でもリリースされたため、心待ちにしていた人も多いだろう。
ツーリングワゴン廃止という悲しいニュースもあるが、私を含め広く大きなレガシィを良しとする5代目ツーリングワゴンオーナーにとっては、選択肢の一つとしてはありうるだろう。
実際に新型レガシィB4に試乗することができたので、その感想と評価について、ここでは考えてみたい。(参考記事:新型レガシィは厳しい評価?5代目レガシィTWオーナーの私が6代目に乗り換えない理由 )
レガシィの正常進化 実車がかっこいい
レガシィのB4の実車を見た最初の感想は、大きくてカッコいいというものであった。日本で発売する前にも、アメリカのスバルのWebサイトなどで写真などはよく見ていたが、写真を見る限り、多少かっこいいとはいえるものの、何かおおざっぱなデザインで、そこまでかっこいいとは思っていなかったところもあった。
しかし、実車を見てみると、写真で見るよりも何倍も存在感がありかっこいい。コンパクトなレヴォーグがかっこいいという考え方もあるが、どちらかというと私はこの大きなレガシィのB4のほうがカッコいいと思ってしまうタイプだ。
コンパクトになって押し出し感が少し弱くなったレヴォーグと比べて、逆にレガシィのB4の場合は、押し出し感が強くなった。フロントからリヤにかけてのデザインも流れるようでかっこよく、用意された試乗車はシルバーであったが、ブラックなどの塗装であっても高級車のようで相当かっこいいだろうと思う。
過激なターボモデルやstiモデルが出たらそれも相当に文句なくカッコ良いだろう。しかし、今の日本の市場では、レヴォーグやS4の販売を邪魔してしまうため、スバルはそれをするつもりはないだろうと思うし、その点がとても残念だ。
軽快なレヴォーグと比較するとどっしりとした乗り心地
乗り心地が軽快な感じがするレヴォーグと比較してみると、レガシィのB4は、よりどっしりとした感じの乗り心地を感じるだろう。カーブを曲がるときや、段差を乗り越えた時の挙動も飛び跳ねるものではなく、どっしりと安定して乗り越えるような感じで、車の乗り心地に高級さを感じる。
かと言って、ボディ剛性が低いわけでもなく、ボディを十分に固めているのに乗り心地も相当に良い。ボディ剛性が高い影響か運転の動作と車の動きにずれが少なく、少し小さな車を運転しているかと思えるぐらいだ。
そういった面で、長距離を運転する場合などは、運転者、同乗者ともに非常に楽にドライブができるだろう。一般的には運転者を優先すると乗り心地が固くなるし、同乗者を優先すると運転がしんどくなるのが普通だが、どちらも両方改善している点はさすがという点だろう。
自分が乗っているレガシィの乗り心地とボディ剛性をさらに高めたような感じで、レガシィの正常進化といえる。ターボモデルはなく、速さはそこそこな感じではあるが、運転に疲れない、かつ同乗者にとって車内が広く、乗り心地の良い車を探しているような人にとって、または長距離を楽に、余裕をもって移動したいという人にとてもいい車だろうと思う。
前席、後席共に広さは十分
前席、後席ともに広さは十分だ。この点は、自分の持っている5代目レガシィ譲りで、正常な進化といえる。高級感の面では劣る部分もあるものの、トヨタクラウンや日産フーガと比較しても、広さだけであれば十分勝負になるだろう。
クラウンや日産フーガのように後席の乗り心地もとても静かというわけではないが、クラウンやフーガと異なり、AWDの走りは揺れが少なくとても乗り心地の良いもので、それらとは違った乗り心地の良さを感じことができるのもレガシーの美点だ。
ツーリングワゴンに慣れている人にとっては、B4の後席は、セダンの形状の都合上、後席は若干頭上のスペースが低くなる。そのため頭上周りがやや狭くなる感じがするので実際にその程度を確認しておくのが良いだろう。
レヴォーグも最終期のレガシィツーリングワゴンと比べて10センチほど短くして後席スペースを削ったが、削らなくてもよかったんじゃないかと思う。これくらいの後席の広さがあったらいいのにと思うところはある。
ノンターボ(NA)はありか?
今回のレガシィB4はDITのようなターボモデルは用意されず、ノンターボのエンジンのみである。ターボのツーリングワゴンやB4に乗っていた人にとって、ノンターボ遅いと心配している人もいるだろう。
これらの心配は、街乗りにおいては不要だ。実際のところ、街乗りでは、アクセルに気を使うほど軽快によく走る。ターボなどを持っている身として、それよりもちょっとアクセルを踏むだけでスピードが上がってしまうという感じだ。
しかし、もちろん他のターボモデルのような高速道路等での爆発的な速さはないため、実際にターボモデルから乗り換える人は、高速道路で試乗できるようであれば、試乗してみても良いのかもしれない。
一般道であっても、アクセルを踏み込んだ時は、エンジンの音はなかなか騒がしい感じがした。ターボモデルと比べてもエンジンの回転数をあげないといけないためエンジン音はなかなか騒がしい。
こういった面で走りを感じさせるため良いという好印象の人もいれば、昔ターボモデルに乗っていた人にとっては車速が早スピードがのらないにもかかわらずうるさいだけと感じる人もいるだろう。
乗った感想としては普通に乗るだけであれば全く問題が速さだ。ただし、スポーツカーのような無駄な速さに魅了されるような人であれば満足できないものだろうと正直に思う。
買う気を無くさせる大きなデメリット
一見とても魅力的に見える新しいレガシィであるが、デメリットがないかというとそうではない。逆に買う気がなくなるほど大きなデメリットがあるのも事実だ。
まず考えられるのが、DITターボモデルは存在しないことがあるだろう。「速い車こそ安全」のような思想をもつスバルにとって、たとえ販売の占率はノンターボよりも低いとしても、また売れなかったとしてもターボモデルというのはレガシィの顔だ。中間グレードではなく、ましてや最上級グレードであるレガシィにターボモデルがないなんて!多くの人がそう思うに違いないだろう。
スバルといえば「ターボとシンメトリカルAWDとアイサイト」いうような、若干偏ったスバリストである私にとっては、ターボモデルがないことは致命的な欠陥に近いことではあるのだ。
ツーリングワゴンがないという欠点
その他にも大きな欠点として、ツーリングワゴンがないということがあるだろう。レガシィは毎回車体サイズが肥大化し、サイズアップしているが、それをよく思わない旧来からのユーザーが多くいる反面、大きなレガシィを好む新しいスバルユーザーというのがいるのも事実だ。
私もその「大きなレガシィ」に魅力を感じてレガシィのツーリングワゴンを購入した一人だ。そういった大きいレガシィを好むユーザーにとって、今までずっと人気であったツーリングワゴンがないことは大きな欠点であるだろう。
5代目などのツーリングワゴン等に乗っていたレガシィオーナーなどが、B4やアウトバックに馴染めない場合もあるだろう。(参考記事:新型レガシィは厳しい評価?5代目レガシィTWオーナーの私が6代目に乗り換えない理由 )
「車線中央維持」機能がつかない
また、大きな欠点としてアイサイトのver.3なのに、「車線中央維持」機能がつかないということがあるだろう。「車線中央維持」機能とは車が車線の中央を維持して走行できるように、ハンドル操作を自動でアシストする機能であり、レヴォーグやWRX S4のみの設定となっている。
ここで大きな疑問が当然のごとく浮かぶだろう。レガシィは、スバルでも最上級の車のはずなのに、なぜ機能は最上級ではないのか?という疑問だ。同じアイサイトのver.3であるのに、また高級な車であるのに、アイサイトの機能だけは低機能版であるということがレガシィを購入した場合納得できないということが起こるだろう。
【追記(2016/09/28)】
スバルの年改(年次改良)によって車線中央維持機能(アイサイト(ver.3))が追加されています。後はターボモデルの追加を待ちたいところです。
(スバルプレスリリースへリンク)
スバル レガシィ アウトバック/B4 を改良
http://www.fhi.co.jp/press/news/2016_09_08_2845/
日本市場で売るつもりはない?
こういった買う気をなくさせるような大きな、しかも複数に及ぶデメリットを見ていると、スバルの意図のようなものを感じることができるだろう。上記で書いたようなデメリットは、クリアできないことではないはずなのに、なぜスバルはそれを行わないのだろうか?
おそらくこれはスバルの意図的な戦略なのであろう。レヴォーグやS4に売り上げを集中させたいという思いがあるのだろう。万一上記のようなデメリットをなくしたレガシィツーリングワゴンで発売した場合、それだとレヴォーグとS4の売り上げが分散ししまう。
現在にレヴォーグやS4はヒットしているが、完璧なレガシィを発売した場合、それらの売り上げが逃げてしまって、レヴォーグやS4の成功に繋がらないと判断した可能性があるだろう。
そういったことから、スバルにとってレガシィというのは、売るつもりは最初からないのだ。もともとレガシィにおいても大半の売り上げはノンターボ車であるため、ターボモデルを除いてしまってターボモデルが欲しい人はレヴォーグに行ってもらう、そういう意図もあったのかもしれない。
この中途半端な感じのレガシィの販売は、すべてレヴォーグやS4の売り上げにつなげるための、戦略スバルの巧みな販売戦略だろう。
スバリストとして悲しい結論 アテンザワゴンと比較した場合どっちを買うか?
レガシィの競合としてたびたび登場する車にマツダのアテンザがあるが、スバルレガシィとアテンザを比較した場合どっちを買うのが正解だろうか?
悲しい結果であるが、結論から言うとアテンザの方がいいのではないかと思う。
まずエンジンについてであるが、アテンザのディーゼルエンジンの方が上のような印象だ。レガシィのノンターボのエンジンには、確かに熟成した良さというものがあるが、それ以上の目新しさを感じることができない。
それであれば、アテンザのディーゼルエンジンの方が新しさを感じることができるし、技術の面でもトルクが太く、長距離などの移動が楽で、特に高速道路などにおいては、アクセル操作も相当に楽だ。
そのような感じでエンジンにトルクがある割には燃費もだいぶ良いし、燃料自体の軽油も相当に安い。ガソリンやハイオクガソリンと比べてとても安い。
またデザインについてもアウトバックのようなアウトドアデザインでないようなクールなデザインのワゴンもある。単純なデザインのカッコ良さという観点で見た場合、もちろん意見は分かれると思うが、多くの人がかっこいいと判断すると予測されるのは、どちらかとかというとアテンザのほうだ。
レガシィツーリングワゴン持っていたアドバンテージと部分でもマツダのアテンザ肉薄している。4WDモデルだってあるし、安全装備も充実している。また、ツーリングワゴンのようなワゴンモデルもある。ツーリングワゴンがないのでB4に逃げる必要もないだろう。
そういったことから、値段は若干高くなるものの、ノンターボモデルのレガシィB4よりもマツダのアテンザワゴンのディーゼルほうをすすめたいと思う。
スバリストとしては悲しい結論だが、同じように考えるスバリストもいくらかいるだろう。こういった意見もあることスバルの開発者にも知ってほしいものだと思うところだ。