レガシィのサスペンションを阿部商会のビルシュタイン BTSキット(B12・純正形状ローダウンサスペンションキット)に交換して感じたこと

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限界をむかえていた私のレガシィのショックアブソーバー

以前の記事ではショックアブソーバーのことについて記事を書いたが、私の愛車であるBR9レガシィについてもちょうどショックアブソーバーが限界をむかえていた。

走行距離は、5万キロをこえた時点ぐらいから、自分自身で乗り心地の悪化を感じるようになり、加えて同乗する子どもたちも酔いやすくなってしまっていた。

そして、7万キロをこえるとますます乗り心地は悪化し、運転者である自分自身も車酔いするほどになってしまっていたのだ。

ショックアブソーバーの劣化による乗り心地の悪化は気が付きにくいか?

実際のところ、前回の記事でも書いたが、ショックアブソーバーの劣化による乗り心地の悪化は本当に気が付きにくい。

特によく車に乗っている人でもそれについては気づかない可能性も大いにあると思う。なぜなら、ショックアブソーバーの劣化は少しずつすすむもので、急に起こるものではないからだ。

判断のきっかけとなる急激な変化がないため、ショックアブソーバーの劣化を判断することも結構難しいことだと私自身そう思う。

そのため、こういったショックアブソーバーなどに詳しくない人の場合は、単なる車体の経年劣化として片付けてしまう場合も多いのではないだろうか。

なぜショックアブソーバーの交換を考えたか?

足回りについてはへたってしまっていても、ほとんどの人はショックアブソーバーを新品に交換することもなく、そのまま乗ってしまっている場合も多いのだろう。

私も実はというと、ショックアブソーバーの劣化や交換については頭の中にはあまりなかった。

しかし、乗り心の悪化に我慢できなくなり、原因を探っていく中で、どうやらサスペンション(ショックアブソーバー)が乗り心地悪化の原因のようだということになり、交換を決めたのだった。

交換するパーツの候補は、純正部品(KYB製)やKYB製のNEW SR SPECIAL、その他全長調整式車高調なども考えた結果、阿部商会のビルシュタイン BTSキット(B12・純正形状ローダウンサスペンションキット)に決めたのだった。

なぜ阿部商会のビルシュタイン BTSキット(B12・純正形状ローダウンサスペンションキット)を選んだのか?

前回の記事でも書いたが、記事の内容のようなことを考え、結論として選んだのが阿部商会のビルシュタイン BTSキット(B12・純正形状ローダウンサスペンションキット)だった。

(参考記事:レガシィやレヴォーグのサスペンション(ショックアブソーバー(ダンパー)など)の交換について考える(交換時期・アイサイトとの関係・メーカー他) – 新米スバリスト レガシィTW アイサイトに乗る

なぜ選んだかというと主には以下のような自分の好みや希望からだ。

自分の好みや希望

  • ローダウンにはあまり興味はないが、走行性能が向上するようであれば少しのローダウンはやってみたい。(ただし、雪道などの悪路における走行に悪影響を及ぼさない範囲内で)
  • 乗り心地やアイサイトに影響があるようであればローダウンはしたくない。
  • 車高調を購入して車高や減衰力などの細かな調整は行う予定はない。(一度設定してしまうとそのままほったらかしの可能性が高い)
  • 工賃やアライメント費用まで考慮すると低価格なパーツでもそれなりの合計金額になってしまうためなるべく費用は抑えたい

実際にやったこと

実際の行動はというと、まずはショックアブソーバー(ダンパー)のみを純正パーツ(KYB)の新品に交換しようとディーラーで見積もりをお願いしたところ、純正部品が予想以上に高く、社外品の車高調でも購入できそうなことが判明したため、そちらを検討することになったのだ。

そうやって検討する中で、比較的安く、性能も優れるという評価が多かったのが阿部商会のビルシュタイン BTSキット(B12・純正形状ローダウンサスペンションキット)だった。

ローダウンの幅は決まった値(フロント-30 mm、リア-20 mm)で、車高調としての機能もないため、調整などに悩む必要もなく、ショックアブソーバーのOH(オーバーホール)も可能なことからこれに決定したのだった。

交換は良心的な金額で快く応じてくれた馴染みのスバルディーラーにお願いをした。嫌がらず、良心的な値段で、真面目に対応してくれる地元のスバルディーラーには感謝だ。

ローダウンによる外観の変化

上でもふれたがこのビルシュタイン BTSキット(B12・純正形状ローダウンサスペンションキット)は、阿部商会が販売するノーマル形状のローダウンサスペンションキットとなる。

サスペンションキットであるため、ショックアブソーバーだけでなく、専用のローダウンのスプリングもセットでついてくるものとなっている。

まずはローダウンによる外観の変化についてふれておこう。

実際のローダウンの値はフロントで-30 mm、リアで-20 mmだ。ぱっと見の印象としてはローダウン幅はわかるかわからないかの自然なローダウンだ。

自然な車高のカッコ良さは残しつつ、車に詳しい人であれば車高を下げたことに気が付くか気が付かないかというぐらいのところだ。車のことに詳しくない人にはおそらくわからない範囲だろうし、車に相当詳しい人にとっては「少し車高を下げた?」と聞かれるぐらいだと思う。

したがって、車高を下げたことをアピールしたい人には向かないのではないだろうか。逆に、あからさまに車高をいじったことを知られたくない人、やさりげなくカスタマイズしたい人にはとても向くと思う。

ファーストインプレッション(乗り心地などの乗り始めてみての感想)

「エンジン出力が落ちた?」最初に乗り込んだ時の印象はまさにそんな感じだった。

まるで地面に紐(ひも)とその先におもりが付いていて、車体がその重いおもりを引きずって走っている感じだった。なので、アクセルを少し踏んでもなかなか加速しないようにも感じもしたし、何か踏み足りない感じでもあった。

もちろん、エンジンの出力などは落ちていないし、重いおもりを引きずっているわけではない。そもそも、交換前の劣化したショックアブソーバーが跳ね・揺れすぎていたところもあり、とても引き締まった新しいビルシュタインの足に交換したことでそれが劇的に改善されたのだろう。

もちろん、アクセルを踏んだぐらいでは車体はぐらぐらしなくなった。もちろん路面の状況によって飛び跳ねることもあるが、全般的には何か重いおもりを引きずっている感じだ。

また、これはデメリットになるのかもしれないが、事前に噂などで固めの乗り心地と聞いていたのだが、そのとおり結構な固さがあったのも事実だ。

(慣らしが終わる前の初期の固さも含んでいる感じだろうか?)特に低速域においてはひどいもので、滑らかさに乏しく足回りの動きにひどい固さがあった。

まだ足回りが馴染む前で、サスペンションまわりからもガタガタという異音も発生していた時期でもあったため、さすがにこれは失敗したかもしれないと最初に後悔したが、距離を500キロ、1000キロと乗るにしたがって足回りは静かに滑らかになっていった。初期の異音についても気にならないレベルまで消えた。

現在では2000キロをこえる走行距離となっているが、当初の固さはほとんどが解消していて、ビルシュタイン独特の滑らかな乗り心地となっている。

また、後で詳しくは書きたいがハンドリングについても大きな改善がみられている。

アイサイトへの影響

ローダウンさせたことのアイサイトの影響であるが、これについては大きな懸念事項であったものの、その心配もむなしく、今のところは何もおきていない。アイサイトは正常に動作している。

今回のローダウンについては、フロントが-30 mm、リアが-20 mmで、姿勢の変化としてはそれほど大きいものではないが、ローダウンすることと、フロントが1 cm多く下がることで、若干ながら前下がりになり、カメラが微妙に下向きになることを少し心配していたりもした。しかし、結果的には今のところ何も問題なしだ。

高速道路などでの追従クルーズコントロールも車間距離もいつもどおり走っているようにも感じる。

これについては、少し難しいところで全てのアイサイト搭載車に問題がでないかというとそうではないのかもしれない。

ローダウンの内容・状況にも深く関係してくるだろうが、アイサイト搭載車の足回りにカスタマイズを加える場合は、何らかの影響がある可能性を想定しておいた方が良いだろう。

メリット・良いところ

続いて阿部商会のビルシュタイン BTSキット(B12・純正形状ローダウンサスペンションキット)のメリットや良いところについてふれておこう。

大きく分けると2つあって、1つは高速道路などの高速域における乗り味・乗り心地で、もう1つは後席における乗り心地の良だろうと思う。

1つめの高速域での乗り心地についてであるが、速度が上がれば上がるほどフラットさや、安定感が増す感じだ。

レガシィが納車されたばかりの頃、高速走行時における車体のフラットさに驚きもしたが、それを上回るフラットさや安定感を持っている。そう感じる理由は、ロールもピッチが大幅に減ったことによるものだろう。

まるで、大きくて重い鉄の塊を引きずりながら走っているかのようだ。低速時では、それが欠点となり少し固めの乗り味となるものの、高速走行時における安定感は抜群のものだ。

サスペンションを選択するにあたっては、低速時における乗り心地を重視するか?それとも、高速走行時における安定感を重視するか?ということになってくると思うところであるが個人的にはこちらの方が好きな感じだ。

ハンドルが正確に動き修正が少なくなることで、運転も随分と楽にもなるし、加えて280psのターボエンジンとも相性はとても良く、コーナリング・直線ともに安定するので馬力をしっかり使いこなせるような印象だ。

また、もう1つのメリット後席の乗り心地の良も大きなメリットだろう。

乗り心地が悪化して、レガシィにあまり乗りたがらなかった子どもたちも今では乗れるようになり、乗るとすぐに寝てしまう。それぐらい、後席の乗り心地が優れているという証明だろうと思う。

デメリット・悪いところ

次に、阿部商会のビルシュタイン BTSキット(B12・純正形状ローダウンサスペンションキット)のデメリット・悪いところについてふれておこう。

このデメリットについてはそれほどないように思える。

価格も車高調でないためそれほど高くないし、高速を走行する際の安定感も驚くほど素晴らしい。車高も2~3㎝下げたに過ぎないのでそれほど運転にも気をつかう必要もない。

あるとすると、上のメリットのところでもふれた足回りの固さぐらいではないだろうか。

ピッチやロールを押さえ込むにはそれなりに足回りを固める必要があるため、この足についてもそれなりに固くなっている印象がある。足回りが固くなったことでの問題は荒れた路面においてだろう。特に、低速域でのそれだ。

低速時にでこぼこ道を乗り上げた時に大きく揺れを拾うし、同じ箇所でもスピードが遅くなれば遅くなるほど乗り心地が悪化するところはある。

低速域での乗り心地よりも、高速域での安定性を重視しているようで、それに納得した上で購入する人にとっては大きな問題にはならないのではないだろうか。

もし、高速でも安定感があって、低速域でも快適な足回りを必要とするような場合には、高価であるもののオーリンズのDFVなどを選択すると良いだろう。

交換して良かったか?

交換して良かったか?と聞かれると、もちろん良かったと答えるだろう。

それなりに費用はかかったものの純正部品に交換してもそれなりにかかるのだからその差というのはそれほど大きくはない。

ビルシュタイン製のダンパーは、初期は驚くほど固く、慣らしがだんだん終わってきた現在でも、低速における振動の収め方はまだまだだ。

しかし、中・高速域での振動の収め方、またはきっちりと真っ直ぐ走るハンドリングなど、さすがビルシュタインという印象を受ける。また、後席の乗り心地が良くて家族持ち向きなのも良いところだ。

BTSキット(B12・純正形状ローダウンサスペンションキット)の欠点から考えるダンプマチックⅡの魅力

やはり、インターネット上でも多く評価されているとおり、ビルシュタインのサスペンションはとてもいいものではあるが、固さが気になる人にはおすすめできないものかもしれないとも思う。

ビルシュタインでもこの固さについては認識しているはずだろう。それに対する回答が、ダンプマチックⅡのような製品なのかもしれない。

最初からダンプマチックⅡを組み込んだレヴォーグのSTIスポーツのような車もとてもうらやましく思うところだ。

ただし、後々のへたってきた時の交換(純正部品として)、もしくはオーバーホールは、コスト面から考えて若干恐ろしくも感じるところもある。通常のビルシュタインダンパーと比較して純正部品価格ではどれくらい違うのだろうか?

交換時の注意点

最後に簡単に交換時の注意点にもふれておこう。

サスペンションまわりをせっかくリフレッシュするのであれば、上部のアッパーマウントについては交換をした方が良いだろう。そして、ブッシュ類についても劣化したものは交換した方が良い。

BR9のレガシィに関して考えると、フロントロアアームのブッシュについては、全てというのは非現実的なのでへたりやすい一部箇所に絞って交換すべきだろう。

ブッシュ類の交換となるとディーラーでもなかなかの作業量となるので、ディーラー以外の向上に依頼するときは経験がある、またはスバル車に詳しいショップに依頼すべきで、ブッシュ類の交換について、ちゃんとした経験があり、的確なアドバイスができるお店であれば任せられるはずだ。

逆に、あまり詳しくないところほど作業を正確に把握できず工賃も高くなってしまうかもしれないので注意が必要となる。

なお、姿勢変化によってライトの角度にずれが生じるため、ヘッドライトの光軸調整は行うべきだ。また、4輪アライメントも行う必要があるが、これは慣らし運転が終わった後の方がベストに思う。

車は足回りさえ新しくすればいつまでも気持ちよく乗れる

今回の大がかりな足回りのメンテナンスを終えてあらためて思ったことは、「車の劣化を感じるのは足回りだ。」ということだった。

何年、または何万キロ乗ったとしても、足回りを新しいショックアブソーバーなどに交換すれば、新車と同じとはいかないものの、とても新車に近い状態まで乗り心地を回復させられることが可能だということを感じた。

こういったことから、新車からずっと長い間1台の車を大切に乗っている人は、足回り(特にショックアブソーバー)の交換によって、また同じぐらい長い期間気持ちよく乗れるだろう。または、ある程度走行した車を中古車で購入したような人でも、それを交換してやれば、中古車とは思えない新車に近い気持ちよい足回りに復活させられるだろう。

足回りなどの劣化を理由に車を買い換えるののは本当にもったいないことだし、車は足回りさえ新しくすればいつまでも気持ちよく乗れるということを改めて感じさせられたリフレッシュ(メンテナンス)だったと思う。




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